序論:評価は必要だが、十分ではない

私たちは点数やスコアで進捗を測る。評価は外部比較を可能にし、分配や選抜を支える。しかし、評価は「できる/できない」の境界を強調し、学びの動機を外部に寄せやすい。そこで鍵になるのが、学びの内燃機関としての承認だ。

本論:承認がもたらす3つの安定軸

  1. 安全基地:失敗しても人格の価値は減らないという前提は、探索(試行)の幅を広げる。
  2. 意味づけ:評価は結果の序列を示すが、承認は過程の意味を回収する。記録は点ではなく軌跡になる。
  3. 共同体:承認は関係の技術であり、学級・チームの心理的安全性を具体化する。
ここで言う承認は「無条件の称賛」ではない。事実に基づく存在承認と、具体行動のプロセス承認の両輪である。

結論:評価の上に承認を敷く

評価は方向と密度を与えるメーター、承認はエネルギーを与えるタンク。二つを直列ではなく並列に配線する授業・仕事設計が、持続可能な学びを生む。

補遺:実装レシピと参考

実装アイデア(授業・研修向け)

  • 前進ログ:毎回5分、カード or スプレッドシート。事実の文で書く(例:「関数を分離した」)。
  • ピア・リーディング:2人1組で「良い問い」を1つ返す。是非ではなく次の一歩を促す形式。
  • 再評価枠:再提出の締切と評価比率を最初に明記。やり直せる設計を制度として保証。

用語メモ

承認:無条件肯定ではなく、存在の価値を前提とした事実ベースの気づきの共有。